ありのまま、愛すること。

大学時代に知り合った友人で、立教大学の経済学部に通っていた、男がいました。

彼は1年留年したので、彼が就職活動をしているとき、私は経理の会社から半年で佐川急便に移ったタイミングでした。

私は彼とはいろいろ話し合っていました。

そのなかで、私は、

「あと1年経ったら会社を興すから、そこでいっしょにやらないか。それまでの来年1年は、就職して、勉強をしてきてほしい」

こう言って、居酒屋チェーンの『つぼ八』を勧めていたんです。

彼はその通り、『つぼ八』に就職しました。

入った『つぼ八』では、彼は非常に丁寧に教育をされました。

というのは、『つぼ八』にとって、東京六大学出身の新卒採用は彼が初めて。

札幌でわずか8坪の居酒屋から始め、全国チェーンに展開した創業社長の石井誠二社長は最終学歴が中卒の方だったので、

「自分の会社にも六大出身者が新卒で来るようになったんだ」

と大変喜んで、かわいがられたんですね。

そうして手塩にかけた新人が、1年経つころに、「辞めます」と言い出した。

私と約束していましたからね、彼は。

社長に問いただされると、彼は、

「元々勉強のために入社したんです、友だちがいて、会社をいっしょにやろうと約束をしていました。彼が会社を立ち上げるまでの1年で辞めると決めていたんです」

と正直に話したそうです。