魔王国。
それはその名前の通り、魔王が統治している国。
住人は当然、魔物と魔族。
だが魔物がずっと国にいるなんてことはなく、ほとんどいない。
魔族も城で魔王に仕えている者以外は大概いないらしい。
魔王が呼びかければ集まるが、それ以外はとても寂しい国。
というのがこれまでにフェイから聞いた話である。
今ボク達は、その魔王国にいる。
正確には魔王国のお城の側の宿屋の一室。
部屋の窓から外を見ると、すでに空は赤く染まっていた。
フェイの手を取ってから、大分長く飛んでいた気がする。
正直言って疲れた。
身体的にではなく精神的に。
部屋に備え付けられているベッドに寝転ぶ。
その硬さからあまりいいものではないようだけど、十分だ。
今フェイは食堂から夕食を取りに行っている。
ちなみにこの部屋は2階、食堂は一階だ。
一応男女のボクらだが、部屋は一緒。
まあ、心配するようなこともないだろう。
それにしても、もはやボクが魔族らしいというのは確定だな。
ここまで来て違ったらむしろ困る。
たまたま魔族だったのか、それとも猫が故意にやったのかは分からない。
わざとだとしたら何が目的なんだろう。
自由に生きろみたいなことを言っておいて、実は何かさせる気だったんだろうか。
うん、ここで考えてても答えは出ないな。
とりあえずは流れに見を任せよう。
実際楽しくないわけではないし。
フェイが戻ってきたら色々聞こう。
魔族とか魔法とか、聞くことは沢山ある。
魔王選抜戦も、よく分からないくせに出るって言ったわけだし。
まあなんとなく名前で予想つくけど。
明日はエントリーに行くと言っていた。
今更逃げられないし、素直に従うのが得策。