魔王様はボク


ボクは再び数歩後ずさり。

なお魔物は近づいてくる。

ボクはまたまた後ずさり。

まだ魔物は近づいてくる。

ボクはまたまたまた…。
ってもういいよ!


「あーもう!!」


ボクはサッカーボールサイズの魔物に狙いを定め、思いっきり足を振るった。
つまりシュート。
サッカーは体育で少々嗜んだ程度だけれど。

ちなみに感触は当然ボールみたいではなく、ぶよっみたいな、ぼよっみたいな。

丸い魔物は地面から水平に見て、斜め上に蹴りだされたため、放物線を描きながら飛んでいった。

漫画的表現だと星がキラッてなるようないい飛びっぷり。
悪の組織の手下とかが主人公にやられて飛んでいくような、そんな感じ。
ああいうのって、たまにこれ普通なら死ぬだろっていうのがあるよね。
もし、本当にそれでお亡くなりになられちゃったら、主人公の罪になるのかな。
それとも無罪?

確かに生前は悪いことをしていたかもしれないけれど、手を出してしまった方が悪いってことに大概なるよね。
やらなきゃやられてた的なシチュエーションでも、先に行った方が罰を受ける。
これって理不尽じゃない?

…って、そうじゃなくてさ。


「…ボク、こんなに力あったっけ?」


そうそうこれだよこれ。
これ考えなきゃ。
…なんかこれこれ詐欺みたい。
これこれ、これだけどー。
訳分からんし、そうじゃなくて!

いくら飛びやすい球体だったからって、こんなに飛ばす力はなかったはず。

…そういえば、あの白い空間で猫が何か言っていた気がする。
確か、重力が弱くなってるから力が強くなってる…だっけ?
まあ、それが事実なら理解出来るよ。
ちゃんとした説明は出来ないけど、ようは今までは重りをつけて生活してたようなものだから、そのために培った筋肉がムキムキってことだよね。
しまった、例え話でもムキムキはやめておくべきだった。
ボクは一応女の子よ、うふっ。
うわ…、自分の考えながら吐き気がするね。
うふって…。