「まあ、弱い奴なら倒せるニャ。でも大概の奴には負けちゃうニャ。だから魔法とか剣とか使えるようになればいいニャ。」
剣はともかく、魔法…。
出来るかな。
ファイアー!とか叫んで何も出なかったら…、うわ想像だけで悶えそう。
でも出来るようにはなりたいな。
猫が物仕舞ったりするのとか見てると便利そうだし。
「そんな訳だから、気をつけてニャ。」
「了解。」
猫は満足そうに頷くと、再びどこからか長い杖を取り出した。
木で出来ており、先端には黒い宝石のようなものがついている。
ゲームとかで魔導師が使う奴によく似ている。
猫は杖を使い、地面に線を引き始めた。
大きめの円の中に、ひとまわり小さい円を作り、円と円の間に不思議な文字を書いていく。
これはあれか。
魔法陣とかいうやつか。
いよいよ本格的になってきたな。
ボクは立ち上がった。
長いことにまだ慣れていない髪が揺れる。
覚えてた?
ボク正座してたんだよ。
ちょっと崩してたけど。
あ、ちょっと足痺れてる。
猫は文字を書き終えると、内側の円の中に端と端がギリギリ着かないという感じの月を描いた。
まるでコンパスを使ったかのように綺麗な円だね。
算数の時ちょっと安上がり!
…あ、それだと勉強にならないのか。
それよりも。
「ボクが来る前に書いといてくれればよかったのに。」
時間がもったいないよ、君。
と、心の中で何処かの大学教授のように偉ぶってみる。
「…本当は明日の昼頃書くつもりだったんだけどニャー。誰かさんが普通じゃなかったために色々予定が狂ったんだニャー。」
うぉっほん。
なんのことかな。
うん全然分からない。
こういう場合も想定して、お風呂に出る前に書いとけば良かったんだよ。
と責任転嫁してみる。
だって言い訳じゃなくても、ボク別に悪くなくない?
猫の準備不足だよ。
それに、せっかくの誰かのお誘いは早く行動したくなるものだよ。
善は急げとも言う。


