「じゃあ、そろそろ行くニャ。」
猫は不敵にニッと笑った。
いよいよか。
うん、ワクワク…する?
多分。
「あ、一つ言い忘れてたニャ。」
猫は思い出したと表情で表した。
言い忘れは勘弁してほしい。
それでボクに何かあったらどうしてくれるんだね。
別に何もしなくていいけどさ。
「これから行く世界は君がいた世界より、所謂重力が弱いニャ。」
重力?
体が浮くってこと?
まさかそこまで弱いわけないだろと自分にツッコミをいれておく。
「だから、今までより体が軽く感じるニャ。浮きはしないけどニャ。」
ばれてた。
さすが魔法を使う魔女っ子猫ちゃん!
…ん?
魔女であってるのかな。
まあどうでもいいや。
「当然力もパワーアップしてるニャ。あちらの世界の人間よりも君はずーっと強いニャ。」
いいことを聞いた。
それじゃお金に困った時の追いはぎや盗みは楽に出来るってことか。
…当然嘘だよ?
ボクは犯罪、特に強盗が嫌いなのだ。
なんかニュースとかで見ると嫌悪感が沸く。
くだらなく感じるし。
真面目にちょこちょこ働くのと、犯罪に失敗して刑務所に入るのだったら、前者の方が全然いいよね。
先の事を考えて行動した方が断然楽に、安全に生きれるに決まってる。
変にはしゃいで後々友達と気まずくなるとか、想像するだけで虚しくなるよ。
注意、実体験ではありません。
なんてね。
「でも、それは対人間の話ニャ。」
そういや人間以外もいるんだったね。
忘れてたよ。
嘘だけど。
「素手で魔物に挑むなんて真似しても、美味しく食べられて終わりニャ。」
美味しくって…。
ボク美味しいかな。
辛いもの食べ過ぎて発酵してそう。
うわ、なんか嫌な想像。
いやいや、そもそも考えるべきはそこじゃない。
つまりボクは人以上魔物以下の力を得てるわけだ。
…なんか中途半端。
どうせなら人以下魔物以上とか。
あれ、これ意味わかんないぞ。
超人ばかりの世界に行くみたいじゃないか。


