魔王様はボク


やはりというべきか、ボクの服装はガラリと変わっていた。
…何故か学ランに。

白い普通のワイシャツの上に黒く、金のボタンが均等に着いている上着、軽めの黒いズボン。

うん、学ラン。
よく学校とかで見る一般的なものだ。

今現在のボクは、ぱっと見男子よく見ると女子という称号を会得出来るだろう。
いや、いらないけど。

じゃなくて。


「…なんで学ラン?」


てか何の本?


「君の部屋にあった本だニャ。ニャーに聞かれても困るニャ。」


ボクの部屋の本。
凜音のファッション雑誌、携帯小説、少女漫画、教科書。
ボクのゲーム攻略本、冒険もの多々の文庫、少年漫画、教科書。

ん?
なんか、趣味がずいぶんはっきり…。

いや気にしない。
そう気にしない。


「それ見せて。」


ボクがそう言いつつ手を伸ばすと、猫は素直に渡してくれた。
すぐに表紙に目を落とす。

その本は、ボクの物じゃなかった。
凜音の少女漫画。
しかも学園もの。

確か前借りて読んだぞ。
学園ものというか学園しか出ない。
つまり、服は二択だったわけだ。

学ランまたはセーラー。

なんでこれにしたんだろう。
どうせ凜音の取ってくるなら、ファッション雑誌とか…いや、あんなフワフワな格好にされても困るけど。

どうせならボクの本にすれば、相応しそうな服になったんじゃ…。

いやいや文句禁止、文句禁止。

セーラーよりは学ランのが動きやすいだろうし、結果的に良しってことで。


「これボクのじゃないから、ちゃんと返しといてね。」


もう一度猫に少女漫画をパスする。
そのままシュート、なんてするわけない。

猫は再びどこかに本をしまった。

本当にどこだか分からない。
なんか猫が自分の後ろにごそごそやると、物が現れたり消えたり。
いや、不思議。
てか便利。