自分で遊んでる場合じゃなかった。
「そこはどんなとこなの?」
ボクは猫に問い掛けた。
少しでも猫から情報を得ねばならない。
今後役立つだろうから。
ボクがきちんと反応を返したのが嬉しかったのか、猫の目が待ってましたとばかりに輝いた。
「その世界には代表的な種族が三種類いるニャ。」
代表的って…。
細かいのは飛ばす気だな。
「人間はもちろんのこと、魔物と魔族がいるニャ。かなり危険な世界だニャ。」
ほう…!
なかなか興味をそそられる単語が出てきたぞ。
「そのうえ、君の世界程発展してないニャ。でも君の世界にないものもあって、魔法や剣なんかがあるニャ。」
やばいね。
まっすぐボクのハートをキャッチしたよ。
まさか生きてRPG実体験が出来るとは思わなかった。
あまりのワクワクに、今にも踊りだしたい気分だよ。
いや、これは嘘だけど。
言い過ぎな表現です。
でも、いよいよ楽しみになってきたのは本当。
ボクはあの世界にないものが見たかったんだから。
自分の命が尽きるまでに色々なことをしたい、見たいと望む。
たとえそれが型破りな方法でも。
なんて。
この考えが本当か嘘かはボクにも分からないけどね。
じゃあなんで頭に浮かぶのか。
さてね。
知る必要もないかな。
それにしても、剣に魔法。
本当にゲームみたいだ。
剣や魔法を使って魔物を倒し、最終的には魔王を倒すというよくある内容が頭をよぎる。
でもボクは勇者や魔王なんてどうでもいい。
ボクがいた世界みたいに、つまらなくなければそれでいい。
多分、その世界の人の中にはこの世界はつまらないって思ってる人もいるだろうけど。
ボクは違うから。


