ここではないどこかに行きたい。

そう願うことは今までもしばしばあった。
しかし最近、それは心からの願いとなってきた。

ボクは所謂、アダルトチルドレンだ。

別に病院に行ったわけではないので自己診断なのだが。

ボクは至って普通の生活を送っていた。

普通に暮らす分には問題ない程の経済力の家。
特に取り上げる必要もない職についている両親。
友人関係も問題はなく、深くはないが浅過ぎもしない。
成績は上の下。運動神経も並。

普通な生活。
それなのに、ボクの願いは変わることはなかった。

あえて何かあげるなら、昔事故にあったらしく、七歳以前の記憶がない。
背中にその時ついたらしい大きな傷痕がある。

しかし、生きてる分にはなんの問題ないと思う。

それから、ボクには双子の妹がいる。

可愛くて優しくて、ふわふわした物が似合い、長い髪には軽くウェーブがかかっている。
名前は凜音(りおん)。

羨ましいくらい誰にでも愛されてる。


そんな妹とボクは顔が瓜二つである。

妹と比べられないようにと髪を短くし、服もメンズばかり。

でもボクだって本当は可愛い服も着たいし、髪も伸ばしたい。

ボクの名前は麗音(れおん)。

明日の模試に悩む現役女子高生である。