疲れた…。


学校に着いた瞬間、机に項垂れる亜弥。
一歩家を出たら、そこは非日常と化していた。


どうやら亜弥が動物と意思疎通ができると言う情報が町内の動物達に知れ渡っていたらしいのだ。
至る所から声を掛けられるは、時にタックルされるは、必要以上に絡まれた。
その原因を作ったコタロー曰く…。


(皆、今までこんな事なかったから珍しいんだろうな。ほとぼりが冷めるまで我慢だ!)


まぁ、動物は好きだし別にいいんだけどね。


「あ、亜弥おはよー!ねぇ、聞いた?裏庭の話!!」
「おはよう、沙希。どうしたの?何?」


興奮気味の彼女は親友、沙希。
高校2年生にしては大人っぽい女の子。
背が高くスタイルが良い。比べて亜弥は小柄で童顔なので中学生に間違えられる事もある。


なので実は憧れてたりする。


調子に乗るから本人には言わないけど…。



「なんか裏庭で猫の死体が投げ込まれてたんだって!!」
「え…どういう事?」
「なんかー、隣のクラスの子から聞いたんだけど!どうやら3組の矢本の仕業なんだって!!」
「矢本?だれそれ?」
「矢本省吾。まぁ、簡単に言うと不良なんだけど。その矢本ってヤツが謹慎処分の腹いせにやったんだって!!」
「何それ、酷い」
「ねー、謹慎処分になったのだって自分のせいなのに。ただの逆恨みじゃん。マジ馬鹿だよ!!」



何の罪もない動物にそんな…絶対に許せないよ!!