ほどほどにしろよ、と言うケインの言葉に曖昧に頷いたクオンはケインに言われたことを頭の中で復唱する。



(アホ貴族……)



ケインが侮蔑を含んで名称した、一部の貴族たち。

それが、アホ貴族。

アホ貴族は権力や地位、名誉などそういった類に目がなくて、自分より格が違う者をとことん蔑む習性を持っている。

……つまり、あまり良い人達ではないのだ。


クオンはその事実を良く知っていた。

なぜならクオン自身が、彼らが蔑む対象になっているから。



それは、



――庶民。



クオンが持つ肩書。たったそれだけの肩書が、アホ貴族が蔑む対象になる。

どうもお高く留まっている人種は、自分より下の者を見下して優越感に浸らずにはいられないらしい。