ガチャっとドアを開けると誰かの足音が近づいてくる。

 靴を脱ぎ終え、顔を上げるとそこにはにこりと微笑む弥英ちゃんがいた。


 「おかえりなさい、和くん!」

 「ただいま、弥英ちゃん。ご飯食べちゃった?」

 「ううん、まだだよ」


 もう夕飯を済ませてしまったのではないかという不安は消えた。

 俺はほっと胸をなでおろし、キッチンに向かって歩き出した。


 「今から作るからちょっと待ってて」


 カバンをソファーのほうに投げ、今日使わない食材を冷蔵庫に詰め込む。

 チキンライスを多めに作って弁当用にしようかな、なんてぼんやり考える。


 「ごめんね、私女なのに…」


 そういって柄にもなくしおしおする弥英ちゃんが少しだけかわいかった。

 再会した時のあの強気な雰囲気はどこに行ったのやら。