俺の名は、佐藤陽彦(さとう はるひこ)。


 歳、15。性別、漢。

 好きなもの、男児。嫌いなものヌンコ(女子)。


 中学時代、入試で良い点数さえ稼げば、私立の男子校に入れると知った俺は必死で猛勉強した。


 そしてこの春、見事この『阿部マリア高校』に入学を果たした。


 今日はその入学式だ。どうだ、多少興奮するのも無理はないだろう。むしろ必然だろう。


 だが、その必然が周りの男児たちを怯えさせてしまったらしい。


 あの後も長いこと続いた校長の話もようやく終わり、やっと休憩時間に入ったというのに。みんなと来たら、こっちに目を合わせてくれないんだ。



陽彦「じー」



斜め前の席の男児A「…ひいっ!」



 ほら、目を反らした。それどころか逃げるように席を立った。


 失礼な子。でもちょっと可愛いかも。名前、覚えておこーっと。



教頭『休憩を終了します。これより第二部をはじめます。皆さん、席について』



 名前を調べようとAくんのパイプ椅子の下にあった荷物を入念に調べていたところで、教頭のマイクが入った。ちっ、いいところで。


教頭『そこの君、座りなさい』


 おお、そこの君=Aくんが泣きそうな顔で席に戻ってくる。ちょうどいいや。


陽彦「アナタのお名前、なんってーの♪」


泣きながらAくん「…ひぃーっ!!」