陽彦「…グヘヘ…」




 漢(おとこって読んでね)は独特な緊張感の漂う体育館の中、独特な含み笑いを浮かべていた。



校長『えーというわけで皆さんには三つの気を持ってほしいのです』



 壊れたテープのように毎年毎年くり返されてきたであろう校長の話には耳を貸さず、周囲を舐めまわすような視線で見つめていた。


 右を向いても男児……左を向いても男児……。こりゃたまらんぞう。


 そこには、ピーピーと甲高い鳴き声で喚くセキセイ●ンコ(女子)の姿はどこにもない。


 あるのは、燐とした侍スピリッツを持ち合わせた木刀(男児!)の姿のみだ。




陽彦「…グヘヘヘヘ…」



 夢にまでみたこの光景を現実のものとした漢(おとこね)は、胸の高まりとゲスな笑いが止まらなかった。


 いかんいかん。いまはこらえねば。紳士たる俺さまのイメージが台無―…




 ――って、おー! あのスポーツ系のダンジ、いい! しなやかでセクシー!

 あっちの草食系ダンジも、いい! 激しく食べちゃいたい!



校長『最後に元気の気を皆さんに届け――』


陽彦「ダンジ、最高ぉぉぉぉう!!!!」






 ……。




 ……。


 静まり返る体育館。

 教師たちや男児たちの熱い視線がこちらを射抜く。これはこれで興奮する。



陽彦「……」


陽彦「……すみませんでした」


 興奮したけど、なんか恥ずかしかったから謝った。

 漢(おとこやっちゅうねん)だって、ニッポン男児の端くれ。謙虚な心構えでないとな。