─五月。
少し幼さの残る新入生も
高校生に慣れ始めた
いつもよりも僅かに賑やかな校舎。

そんな校舎も気にもせず
高校も二年目に突入した
キチセハカゼ
吉瀬葉風は
元オタクの巣、第三棟の屋上。
そこに友人と設置した
空色のソファに体を沈めていた。

葉風のクラスは今、この晴天の中
校庭で体育の授業の真っ最中。
一方、葉風の両手にはDS。
どこからどう見てもさぼりだ。


─キーンコーンカーンコーン

学校特有の鐘の音に
画面に向いていた顔を空に向けた。