「那智は練習中?」
「うん」
由樹ちゃんがすらりと伸びた腕を動かしながら絵を書いていく。
由樹ちゃんはなぜか人物画以外しか書かない。
どうしてなのかはさっぱりわからないけど。
「那智」
「ん?」
「濡れてる」
由樹ちゃんはそう言って、私の腕をとり、ジャージの袖を指差した。
「あぁ、これ?すぐ乾くよ」
「これ、使って」
ふにゃっとした笑顔で由樹ちゃんはハンカチを差し出した。
「ありがとう、大丈夫なのに〜」
私は半分笑いながらハンカチを受け取った。
由樹ちゃんはとても優しい。
怒ってるところを見たことがないくらい。

