*   *   *


「もしもし、ミカ?」
〈うん、ミカだよ。どうしたの、こんな朝から電話なんか〉

麻里乃はミカに電話をかけた。
彼女が、本当に自分を裏切っているのか確かめるために。

「あのね、嬉しいお知らせがあるんだ。ミカには一番に伝えたくて電話しちゃった」
〈嬉しいお知らせ?〉
「うん!」

麻里乃は、大きく息を吸ってから言った。

「私に脅迫状送ってたストーカー犯の正体がわかったの!」
〈……え?〉

ミカの声が一気に冷たくなったことに、麻里乃は気付いた。

「らぶはぴの人がね、犯人突き止めてくれたらしくて、2時にお店に来てって言われた。その時に教えてくれるみたい」
〈ふーん…そうなんだぁ…〉

「……ミカも一緒に行く?」
〈ごめん、今日用事あるの。犯人わかったらあとで教えて〉
「わかった!じゃあね」


電話を切ると、麻里乃は緊張がほどけ大きく息を吐いた。

大丈夫…大丈夫だよ…。
ミカは、いつも私と一緒にいてくれたんだ。
大親友なんだ。
そのミカが…私を裏切ったりなんかしない…。

携帯を持つ手に力が入る。

朝ご飯を食べ、おとなしく午後2時を待つことにした。