けど、今年は違うんだ。


「あの…今年はね、苺タルトにしてみたんだ。」


私は陸斗君にケーキを入れた箱を渡す。



「マジ?すっげー嬉しい。苺大好きだからさ。」


陸斗君は箱からケーキを取り出し、言う。



「い、今…食べるの?」


「ああ。俺、今日はこれが楽しみで仕方なかったから。」


「お菓子、しょっちゅう陸斗君にあげてるよ?」


「バレンタインデーは特別な日だから。」


「陸斗君…」


「やっぱり、お前の料理が1番好きだ。美味い。」


陸斗君は苺タルトを手で持って食べ、言う。



「あはは、陸斗君。口の周りベタベタ!赤ちゃんみたい。」


「う、うるせぇ。」


陸斗君ってお菓子食べる時、子供みたいにはしゃいでて可愛いんだよね。



「もうー。」


私は陸斗君の口元を拭く。



さっきまでへこんでたのに
不思議だなぁ。


陸斗君が喜んでケーキ食べる姿見たら忘れてしまった。