――それから一ヶ月。


陸斗君は少しずつ、
元気を取り戻していた。



簡単には立ち直れないかもしれないけど…


けど、いつかは…。



「桜沢、何してるんだ?」


「わわっ…」


私は陸斗君に声をかけられ、慌てて本を隠す。



「な、何でもないよ!」


「ぷっ…変な桜沢。」


「うぅ…」


すると

「高山、違うクラスの子が呼んでる!」


「あ、ああ。」


陸斗君は教室を出た。


ホッ…


陸斗君にバレンタインの本、見られるところだった。



もちろん、友チョコとして渡すけど…


ドキドキするなぁ。



はぁ…


陸斗君が夏穂さんと別れた噂が学校中に広まってから、陸斗君に告白する女の子が一気に増えた。



そっとしといて欲しいんだけどな。


陸斗君は夏穂さんの事、まだ忘れてないと思う。



口には出さないけど…。