何度も二人を見てきたんだもん。


チャンスとかそんな事、考えたくない。



今はただ、陸斗君の事が心配なんだ。


「高山君、かわいそう…」


「慰めてあげたい!」


お願いだから…今は…

陸斗君の事…。



胸が切なく痛む。


悲しい表情をした陸斗君の顔が頭に浮かぶ。



陸斗君…。





――放課後。


…あ…


私はいつものように、理世ちゃんと帰る。



だけど


な、夏穂さん…。


夏穂さんが男の先輩と歩いてる姿を見てしまった。



言いたい事はたくさんある。


どうして…って。



けど


私にはそんな事言う権利はない。



陸斗君が堪えてるんだもん。


気持ちは変わっちゃうもの。



陸斗君の言葉が私の心を切なくさせる。


こんなの、すごく寂しくて…悲しいよ。