それでも、キミが好きなんだ




時々、

陸斗君はずるい。


友達として心配してくれてるの分かってるはずなのに…



陸斗君の優しさが堪らなく嬉しい。


心配してくれてすごく嬉しいんだ。



期待なんかしたくないのに…。


「あ、あの…陸斗君。」


陸斗君は腕を掴んだまま。


「何だ?」


「あ、あの…腕…」


「だめだ。お前みたいな鈍くさいのはすぐにはぐれるからな。」


「ど、鈍くさい!?」


は、はっきりと…


「ちゃんと掴まっとけ。」


――キュン。



友達としての優しさ。


陸斗君の好きと私の好きは大きく違うの分かってるんだ。



なのに


それ以上になりたいと願ってしまう私がいる。



決して叶わないはずの願いなのに。



「…桜沢。」


「ん?」


「…浴衣、すっげー似合ってると思う。」


…え…


――ドキッ。


「そんな事…」