もし


ここで断ったら、陸斗君にばれちゃうかも。



私が行くのをためらう理由が…。


「桜沢も行こうぜ。」


陸斗君が私に言う。


…っ…


「う、うん!」


もしかしたら、二人の姿をたくさん見たら諦めがついちゃうかもしれない。



分からないけど…


陸斗君にそんな事言われたら断れなかった。



本当はすごく辛いの。


分かってる。



だけど


断ったら陸斗君に気持ちを気付かれちゃう。



気持ちを気付かれたら困らせちゃうから。


友達として行くんだ。



「じゃあ、今度の土曜日ね!」


夏穂さんはそう言うと、陸斗君と教室を出た。



「美鈴ちゃん…」


浩太君が私を見つめる。


「だ、大丈夫だよ、浩太君!」


「ごめんね、美鈴ちゃん。」


「へ?」


「俺、そろそろ本気で行くからね。」


「浩太君?」