「先生は、先生じゃなくて北沢誠太ですよね!?」
「は?」
私の問い掛けに、先生は眉間にシワを寄せて首を傾けた。
「ゃ、まぁ北沢誠太だな」
私の方から顔を体育館外に向けて、先生は煙草をまた一口吸う。
「先生が今、先生じゃないなら…」
「何だよお前、さっきから…とりあえず、何か俺に聞きたいの?言いたいの?」
必死に何か伝えようとしてる私に、先生は困った様な面倒くさい様な複雑な表情をした。
先生を困らせてる。
私が今一番、先生に聞きたい事…言いたい事は…
「ゎ、私北沢誠太が好きなんです!」
先生にそう言った私は、何だかスカッてした気持ちになって笑って喜んでしまった。
「何で、笑ってんの?」
「ぁ…私、何が言いたかったのか自分でもよく分かってなくて」
私は、先生の方を見ると先生は私から顔が見えない角度に顔を向けてた。
これじゃ、また困らせてるかどうか分かんないよ。
「先生を、困らせてたみたいだったから…だから、答えが見つかってスカッてしたんです!」