走り出して数時間過ぎたころ

「矢口さん!」


急に広樹が俺を呼んだ


風を切る音がうるさくて
少しスピードを落とすと
広樹が並んで走る

「どうした?」


「あそこ。
なんか騒がしくないですか?」


広樹の言う方を見ると
暴走族らしき奴らが路肩に集まっている


「気にすんな。
俺達には関係ねぇよ。」

そう言って通り過ぎようとしたとき


むらがる男たちの隙間から
尼寺の顔が見えた気がした


え?!


思わずブレーキをかける


後ろを走っていたみんなも
同じように止まった


「矢口さん!今の!!」

恭介も同じものを見た様で
声が珍しく焦っていた