――助けて
心の底からそう叫びたい。
でもあたしは弱い。
固まることしかできない。
「おい、お前、携帯忘れてんぞ……知り合い?」
大雅が天使に見えた。
ゆっくりと大雅に視線を合わせる。
秀からは怖くてなかなか離せなかった。
「どうも、亜美の友達です」
「そりゃどうも」
いつもの大雅らしくない落ち着いた低めの声。
警戒しているのがよくわかる。
「亜美の彼氏ですか?」
大雅とは反対に余裕の笑みの秀。
「ちげー」
その間もあたしはカタカタと震えだしそうな肩を必死に抑える。
それに気が付いたのか大雅が口を開いた。
「んじゃ俺ら、急ぐから」
動かないあたしの足の代わりに、大雅が腕をひっぱってくれる。
「媚びばっか売ってんじゃねぇぞ。亜美」
思わず二人の足が止まる。



