あたしは颯太の言葉に驚いた。


いつか、あたしが陽にたいして思った気持ちそのままだったから。


そのままだからこそ、颯太の気持ちが本気であることがわかった。


始めから疑っていたわけではないけど。


「5年前、俺は恐かった。フラれるのが。フラれるのが目に見えていたから逃げたんだ。かっこいい言葉並べたけど、あんなの、怖がりの戯れ言だった」


颯太の顔には笑顔はない。


真剣。


「でも、今ならちゃんと聞ける。亜美の気持ち」


大人になったんだから。


そういって、颯太は悲しそうに笑う。


あたしは気が付いた。


颯太はあたしの返事を知ってる、って。


だからこそ、あたしはちゃんと言わなければいけない。


あたしの気持ちと、ありがとうを。


「颯太の気持ち、すごく嬉しいよ。――――でも、颯太があたしをずっと想っていてくれたのと同じように、あたしは陽をずっと想ってた」


「うん……」


「ずっと、あたしが5年も頑張れたのは陽を想ってたからなの」


「うん……」


「だから、颯太の気持ちには応えてあげられない」


「うん……」


颯太は、頷いた。