会いたい気持ちと会いたくない気持ち。
懐かしいから会いたい。
でも、きっと、あたしは颯太に会っても、気持ちはかわらない。
あたしがずっと好きなのは陽だけ。
颯太の気持ちに答えてあげられないことが分かってるから会いたくない。
あたしはどこまでも浅はかで、最低なのかもしれない。
傷つけるくらいなら始めから会わなければ、なんて思ってしまった。
自分で自分をぶん殴りたい。
「颯太は?」
横を歩いていた大雅に聞いてみた。
スーツに両手を突っ込んでいる大雅は少し考える素振りを見せた。
それはまるで、言っていいのか、見定めるようだ。
「……あいつ、お前がいなくなってから本気で勉強したんだよ。髪も黒くして、担任のとこいって、“1から教えてください”って」
嘘っ―……。
「担任も喜んでさ。巻き添えくらって俺も勉強させられた時期もあったくらい」
かなり喜ばれたんだね。
どんだけ授業受けてないんだよ。
「おかげで、ちょっとレベル高めの専門いけたけど……」
お?
この言い方は、多かれ少なかれ感謝しているな!
照れ隠しだ。



