いつまでたっても大翔には口では勝てないんじゃないだろうか。
「なんか、案外あっけないなぁ―…」
「あ?」
「なんでもない」
小さく、誰にも聞こえないくらいの大きさでしゃべったつもりだったのに、大雅には聞こえていたみたいだ。
さすが、地獄耳。
はじめて知ったけど。
今、大雅と優真君と大翔とたしがあの頃のように当たり前のように一緒にいることに違和感を感じない。
逆に、違和感を感じないことに違和感を感じそうなくらい。
もっと緊張とか、戸惑いとか、ためらいとかあるもんだと思っていた。
なのに、彼らは何の違和感もなく、あたしを受け入れてくれて、あたしに居場所をくれていた。
気が付かないうちに、あたしはこいつらに助けられている。
「誰だろ?次は」
「今日は陽は来ねぇよ」
「え?来ないの?」
期待はしていた。
だってこんなにもみんな揃っているんだら、陽も来るんじゃないだろうか、と。
「だから、あと一人は颯太だよ」
颯太。
あたしのことを好きになってくれた人。
そして、あたしに成長を約束した人。
それが颯太。



