失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿




結局よくわからない言い争いになりそうなので、息切れも激しいし、話をかえさせていただこう。


「ここは何なの?」


「ここは……、お、来た来た」


大雅があたしの後ろを見て嬉しそうにニヤニヤしている。


ん?嬉しそうか?


「よ!優真!」


「嘘……」


振り向いた時に見えたのは、髪が真っ黒の優真君。


しかもエプロンしてるし。


「待ったか?」


挨拶もなしに、優真君は話を進めていく。


「いや、それほどでもねぇ。ってかお前、抜けてきて大丈夫だったか?」


「まぁ、園長先生がなんとかしてくれた」


そっか。この人、保育園の先生なんだ。


だから料理も作れないくせにエプロンしてるんだね。


「久しぶりだね。亜美ちゃん」


そうだ。


あの5人の中であたしのことを“亜美ちゃん”と呼ぶのはこの声だけだ。


つまりそれは、優真君なわけで……。


「本物の優真君だぁ―…」


「偽物なんかいねぇだろ」


そうなんだけど、そういう意味じゃないんだよ。


なんか優真君は雰囲気が優しくなっているような気がする。


子供を脅してはいなさそうで安心した。