失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿




大翔とかにそれをいわれるのは分かる。


でも大雅に言われるのは、なんか嫌だわー。


「今日はさ、強制連行っていうの?とにかく連れていきます」


どこに!?


「とにかく行くぞ!」


「え?ちょ、」


腕を捕まれて無理矢理走りだす大雅にあたしは絡まりそうになる足を懸命に動かす。


「トロイのは変わんねぇな」


「う、っせぇ!」


反論したいのに、息切れのせいで途切れちゃう。


「すぐだから、走れ。死ぬくらい」


ちょっと待て。


なんて反論したいのにもはや言葉にならない。


ちょっとは手加減して走ろうよ。


あたしは普通の女の子であり、スーパーマンではないです。


そんなに速く走れません。


「あそこ」


大雅がやっと止まったのは、はじめの公園から500メートルほどの所にある交差点。


何で日本に帰ってきてからいきなり500メートルを全力疾走しなきゃならんのだ。


「は?交差点?」


「間違って道路に出てもいいぞ」


「いかねぇよ」


なんでいきなり道に飛び出すんだよ。


「あ、ボールが」


「取りにいかねぇよ」


ボール転がってないし。