失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿




「まずは斎藤」


大翔かぁ。


「あいつは今副社長してるよ。兄貴の手伝いに忙しそうだ。あいつ自身は頭の回転早いし、いつか業務提携も考えてやってもいいかな?って感じ」


それはすごいじゃん。


いつか、完璧に金井家の主が武になった時、きっと大翔の家は大きくなれる。


「スーツ似合ってるよ」


スーツかぁ。


なんか、エロそう。


どっかの会社のお姉さんをたぶらかしてそう。


「忙しいみたいで、あんまりあいつらにも会ってないみたいだ」


「そっか……」


高校時代、当たり前のようにいつも一緒だったのに、それはいつの間にか当たり前ではなくなっていたのだ。


「なんか淋しいね」


「俺らみたいだな」


「だね」


婚約騒ぎを思い出して、つい笑ってしまった。


お互いに思い出したくない過去だけど、すでに笑い話にできるレベルには達している。


「次は誰がいい?」


「んー、大雅!!」


なんとなく大雅が気になる。


「大雅が一番心配なんだよね。自宅警備員になってないか」


「自宅警備員って、お前……」


仕方ないじゃん。


だって心配なんだもん。