あたしはその新しい重みを確認して、また心が温かくなった。


「――――ありがとう」


なんかあたしには家族がたくさんいるみたいです。


「亜美さん、久しぶりに私に髪型をまかせていただけませんか?」


「お願いします」


即答した亜美を見て佐伯さんは嬉しそうにした。


そんな嬉しいことか?


「では失礼して……」


サラリ


久しぶりに誰かに髪を触られて少しドキドキする。


佐伯さんのあたしの髪を触る手つきがやさしいからなのも理由の一つだ。


「亜美さん、大人になったんですから、これくらいで緊張しないでください。ウケます」


「ウケるってなんだ」


つい昔に戻ったように突っ込んでしまった。


「亜美さんはアホなままがいいと思います」


アホなままってあんた。


それはあたしが嫌だよ。


「アメリカに行き、国際的な知識をつけられたことは素晴らしいことですが、“自分”を忘れないでください」


自分かぁ―…。


忘れてたかな?そんなつもりは無かったんだけど、ずっとあたしを見てきた佐伯さんが言うのだからそうなのだろう。


「覚えていますか?」