「なんにせよ、そろそろだぞ」
春がネクタイを締め出した。
ということはこの空間も終わりを告げようとしているんだね。
「なんか、早いね……」
しみじみとした声がもれる。
こんな時に、自分歳とったなぁ、って思う。
「……そういえば春、お酒飲んでないね」
二十歳をすぎてから、春に限らずみんながお酒を飲むようになった。
大人の付き合いで。
中でも春はかなりお酒が気に入ったらしく、よく飲んでいると聞いたのに……。
すると春は嬉しそうに笑いながら言った。
「花歩が、お酒臭い春さんは嫌いです、って言うからね」
そう言い残し、キリッと顔つきをかえて、出ていってしまった。
デレデレだな。
春をあそこまで変えてしまった花歩ちゃん。
ますます会いたい。
「んじゃあたしもそろそろ行くわ。眠いし」
「あぁ、」
早紀も行ってしまった。
「……お前、捨てられたら戻ってこいよ、俺んとこ」
「縁起でもない」
武が笑っていた。
「どうしたの?」
「いや、明日見に行くんだろ?」
「うん、そのつもり」



