それぞれの使用人が部屋を出ていった後、緊張感は吹っ飛んだ。
武は元の性格からか、あまり変わらないが、春はネクタイが消えた。
早紀は着てきたのが着物だったので特に変わらないが、とてもめんどくさそうな顔をしている。
「早紀、顔死んでるよ」
「腹苦しい」
まぁそりゃ着物は帯をしめるものだからね。
「たくさん食べれないじゃない」
「あきらめなさい」
あたしの言葉に早紀は嫌そうに膨れた。
「今日はあんまり食事出さないからな」
「なんで?」
「どうぜだから、軽食にして、亜美と春の話聞こうかと思ってさ。早紀も着物でずっと立ってんの辛いだろ?」
「座ってても辛いもんは辛いけどね」
よしかかれないからね。
「まぁ、そこは……。知らない」
放棄。
お互いに5年で大きく成長していた。
歳が歳だから、身長は伸びないけど、何かが変わっていた。
だからといって、あたしたちの関係は変わらないけどね。



