「……」
「……」
昔は気まずかったこの無言。
今では全然気まずくない。
二人でなんとなく道を歩いてみた。
何をするでもなく。
でもなんか心があったかくなる。
「……陽、いろいろありがとう」
あたしは去ろうとした。
これ以上いたら、縋りつきたくなりそうだから。
「……お前は俺に言うことないのか?」
「え?」
一瞬ドキッとした。
何かに気が付いているんじゃないか。
例えば、あたしがあなたを好きだっていうこととか。
でもその考えはすぐに消し去った。
だってシュークリームすきだもん。
そんな奴に何かを悟られたくはない。
「そんなこと言っちゃって!本当は陽があたしに言いたいことあるんじゃないの?」
あたしは迷った末に、こう返した。
「……」
黙っちゃったよ。
ダメだよ。
ここは、“何もねぇよ”って返すトコなんだよ。
お願いだからそんなに真剣な顔をしないでください。



