優真君が鼻をすすりながら去った後は颯太が。
「亜美、俺、亜美のことやっぱ大好きだ」
「うん、ありがとう。でも……」
「わかってる。言わなくていい」
そう言って少しだけ目線を陽に。
君も気が付いているのか。
「亜美が帰ってくるまでに、俺、めちゃくちゃかっこよくなって、亜美を守れるくらい強くなるから。そしたらまた言う。その時、返事聞かせて?」
あぁ、駄目だ。
笑顔でいたいのに。
目から汗が大量に溢れてきて、顔ぐしゃぐしゃだ。
「うんっ、ありがとう」
颯太は、最後にあたしのおでこに軽くキスを落とした。
「これくらいは許して」
いたずらっ子みたいに笑う颯太の目にも、ちょっとだけ汗。
その汗が溢れないことを祈ってるよ。
「――――またね」
「うん、またね」
颯太は、一度も振り返らずに、その場を去っていった。



