「何で？って。何であたしには何も言ってくれなかったの？ってなって」
その時のことを想像しただけなのに目に涙が溜まってきた。
「うん、それで？」
陽が優しい声音で先を促す。
「淋しくなる。行かないでって、あたしを、１人にしないでって……」
流したくない涙が頬を伝う。
やめて、泣くな。
みんなの記憶に残るあたしは笑顔がいい。
「……無理だ、よ。絶対怒る。見つけたらぼこぼこにしてやりたくなる」
涙を見せたくなくて下を向く。
「顔上げろ亜美」
陽の優しい声に顔を上げる。
するとそこにあったのは、微笑むヤンキーたちの顔。
そんな顔、出来るんだね。
「俺達だって、亜美が勝手にどっかいったら、捜し出してぼこぼこにして半分に折り畳んでやりたくなる」
そこまで言ってねぇよ。
「俺は、俺達は亜美が大好きだから、シュークリームより大事だから、だから怒るんだ」
なんかシュークリームより上ってかなりリアルで嬉しい。
「亜美にとって俺達ってどんな存在なんだ？」
どんな存在か。それは言葉に表せないし、シュークリームでも表せない。
