話を始めてから1度も口を開かない陽。
それが逆に怖い。
「あたしは、深瀬っていう会社をより良くしていきたい。あたしの力で」
「……」
何か言って。何か言ってよ、陽。
「だから、みんなには頑張ってって言ってほしい」
勝手なのもは重々承知。
それでも、あたしはみんなに応援してもらいたい。
「……、亜美は俺たちのこと分かってねぇよ」
やっと陽が口を開いた。
「とりあえず全員座れ」
その時立っていたのは大翔と大雅。
「「へーい」」
2人は綺麗にハモり、適当に座った。
そして、みんなが陽の言葉を待っている。
「……まず一番最初に、この部屋に入れるのは俺達だけだった。他は誰も認めてなかった」
陽が冗舌だ。
そして初めて陽がたくさん話すとこを見た。
「あの日は俺がたまにシュークリーム食べたくなったから、じゃんけんに負けた大翔がシュークリームを買いに行ったんだよ」
ちょっと待て。
“たまに”だと?
いつもの間違いだろ。
「そしたら大翔が亜美を拾ってきた」
猫みたいに言わないでほしい。
つっこみたい。



