失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿




「それに、金持ちの世界ってもんをお前ら知らないだろ?」


いろいろと世間体ってもんがあるんだよ。


大翔が言い終わった瞬間、誰もしゃべらなくなって、音楽室が静寂に包まれる。


「大翔に会って、いろんなこと聞いた。颯太が何か感付いてることも、大雅がラーメン奢ってくれようとしたってのも」


それ聞いて、嬉しくなったってのは内緒だけど。


「俺は?」


「ごめん、忘れた」


優真君は……うん、ごめん。


「それでいつまでも逃げてちゃダメだって気が付いたの」


みんなに必要ない存在だって思うのをやめた。


「陽に、勝手にしろって言われたから勝手にしたけっかがとりあえずこれなの」


あたしが決めたの。


大翔は背中を押してくれただけで、最終的にみんなに話すことに決めたのはあたし自身だ。