「颯太、ちゃんと聞こう。亜美ちゃん、続きお願い」
優真君が先を促してくれたおかげで颯太が押し黙る。
「実は話自体はあたしがみんなに出会う前からあったの」
話だけは昔からあった。
空白だらけで、全然具体的ではなかったが。
「それが具体的になりだしたのは本当に最近で、あたしと武の婚約の話が無くなったあたりからなの」
あの話はまだ武ががんばってくれている。
「本当はもっと早く行く予定だったの」
それを後らせたのは――
「みんなと離れるのが嫌でずっと後らせてきたの」
みんなといるのが楽しくて仕方なかったの。
ここはあたしの居場所だって勘違いするくらいに。
「でも気が付いたの。あたし、甘えてるって」
みんなに甘えてるって、思ったの。
「……っ、そんなの、気にしてない。亜美にだったらいくらでも頼ってほしいよ」
颯太がそんなこと言うから泣きそうになった。
でも、みんなの中に残る記憶が泣き顔なんて嫌だっていうくだらないプライドのおかげでなんとかこらえた。
「それじゃ、ダメなの……」



