失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿




「それでね、ついていったら陽っていうシュークリーム大好きなイケメンと、寝てるかうるさいかどっちかの大雅っていうのと、弟みたいで可愛い颯太がいて、冷静で変態な大翔がいて、みんなを優しく見守る優真君がいた」


そう。あの日、すべてが始まった。


「みんな友達想いのくせに、意地っ張りで、素直じゃなくて、でも食欲には素直で……とにかく、アホなんだよ」


彼らは、あたしが欲しくて欲しくて止まないものをたくさん持っていた。


「それからみんなといろんなことしたよ。みんなにお嬢様だってバレてもいつもと同じ様に扱ってくれて……。あそこはあたしがあたしでいられる場所だった」


誰が欠けてもダメで……。


「武の婚約の話も、あいつらのおかげてちゃんと向き合えたんだよ」


この一年近く。


振り返れば振り返るほど彼らが溢れてくる。


「今は婚約ね話を白紙に戻すために武が頑張ってくれてるよ」


いろいろと動いてくれているらしい。


「瑠伊も帰ってきて、すごく大人っぽくなってた」


瑠伊も、気が付いたらいろいろと動いてくれている。


「あたし、まわりの人に恵まれてる」