失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿




「まずは言おうと思ってたことがあるんだ」


言わなきゃならないことがあった。一番最初に。







「ありがとう」







そう言いたかった。


命を懸けて、あたしを守ってくれてありがとう。


「お母さん、本当にありがとう」







言えた。ちゃんと笑顔で。伝えたい事を。



「どこから話そうかな?多分お母さんなら大笑いするような人達と一年近くを過ごしたんだよ」


“ありがとう”を伝えられたから、次は陽達のことを話そう。


きっとお母さんなら、『そう、亜美はとても愉快な仲間ができたのね』って笑ってくれるに違いない。


「まずはね、あたし、秀っていう大好きだった人にフラれたんだ」


会うだけで辛かったのに。


いつの間にかあたしは彼のことを普通に話せるようになった。


陽はあたしと初めて会った時、『俺らが忘れさせてやるよ』、そういった。


本当にそうなったから不思議だ。


「それでね、その日下向いて歩いてたらシュークリーム持ったイケメンにぶつかったの」


本当にビックリした。


あの頃のイメージは一瞬で、崩れ去ったけど。