吾妻さんが持ってきたご飯を素早く胃袋に詰め込んだ亜美は、すぐにお風呂に入った。




そのあと、いつもはなかなか着ないカジュアルな服装に着替え、メイクも薄い。



今日は“深瀬だから”と気張る必要はないのだ。


亜美は、部屋に飾ってある母の写真わ手に取った。


いつもは、会える嬉しさにいつのまにか頬は緩んでいたが、今回はそうはいかなかった。


母親の死の原因を作ったのは紛れもなけあたしで、暫らくお墓参りに来れないと報告するのだ。


簡単に笑えるわけなかった。


「……行くから、たくさん話そう」


どんなに辛く、悲しい真実だったとしても、教えてほしいと頼んだのは自分だ。


長い間、いろんな人にあたしが背負わなければならないものを背負わせてしまった。


ちゃんと話そう。


そして、ちゃんと陽たちとバイバイするんだ。



亜美は時計を確認して、もうすぐお昼だと知った。



「行こうかな……」



亜美は写真を元の位置に戻し、部屋を出ていった。