亜美は貰ったお守りを大事にカバンに入れて早紀の家を後にした。
お昼に誘われたが、お昼は武と食べることにしていたから、断った。
門から出てすぐの所に、車は停めてあった。
亜美は素早く乗り込み、次の行き先を告げた。
「武の家までお願い」
「はい」
ブーンとゆっくり発進した車はそのうち車内からは周りの音が聞こえないくらい静かになった。
時計を見れば、約束の時間まであまりない。
――これは少し遅れるな
道路交通法を破ってまで急ぐ気はない。
亜美は素早くメールを作成し、遅れる、と送信した。
すぐにメールは返ってきて、“分かった”らしい。
絵文字もデコメも何も無い素っ気ないメールだが、昔からこれだから、もう慣れっこだ。
「佐伯さん、急げる範囲で急いで」
「かしこまりました」
いきなりのお願いに、佐伯さんは困った様子も見せず対応してくれた。
「少し、裏道を使ってもよろしいですか?」
「どうぞ」
亜美の許可を聞いた佐伯さんは、ニヤリと笑った。
気のせいか?悪い御方に見えたぞ。
一体どんな道を使う気なんですか?



