今なら、みんなとの思い出だけあれば、めちゃくちゃ頑張れる気がしたんだ。
「みんなのおかげなの。だから、みんなに言わなきゃ駄目だよね」
「まぁ、そういうことだ」
それから大翔はしばらくお茶を飲んでいた。
「そういえば、さすが天下の深瀬だよな。家デケー」
「ん?そうかな?」
「うぜー」
「は?うちは昔からこうだからわかんないんだもん」
「……なんか、かわいそうなのか羨ましいのかよくわかんなくなってきた」
え?何?哀れまれてんだけど。
「……あっ!」
「なんだよ」
「言い忘れたことがありました」
「まだあんのかよ」
大事なことを一つ忘れてました。
「出発の日、3日後なの」
「はぁ?」
時間ねぇじゃねぇか。
大翔の目が鋭く光る。
「しかも、明日も明後日も忙しくて行けない」
「馬鹿じゃねーの」
まったくその通りだ。
「……仕方ない。陽たちは明々後日俺が集めといてやるから明後日来い。そこでちゃんと言えよ」
「わかった」
それだけ約束して、大翔は帰って行った。
期限は三日後。



