でも――――



トントン


ドアをノックする音が聞こえた。


『いいか?』


またか。


返事もしてないのに、我が物顔で大翔の部屋に入ってきた兄。


それを見た瞬間、気が変わった。


『っ、おい!大翔!』


名前を呼ばれているのを完全に無視して俺は部屋を出た。



殺されたっていい。



それくらいやけくそで、メールの誘いにのることにした。




河川敷、




それは大翔の住む高級住宅街からあまり離れてはいない。


土手から見たらすぐにわかった。


『――――遅いな』


メールの相手と思われる奴が口を開く。


『何?告白?俺女の子がいいんだけど』


『ふざけんなよ。この人数見えてんのか?あ?』


と言われてそいつの後ろを見る。


『見えてないわけないじゃん。俺も忙しいの。用件言ってくれる?』


早く、俺を壊してくれよ。


『俺を覚えてるか?』


『さあ?』


挑発するように、俺は笑う。


笑顔は相手を和ませることもできるけど、相手を挑発もできる優れものだ。


『――――やれ』


後ろに控えていた約15人が俺に向かって走ってきた。