失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿




そう言うと、陽は踵をかえし、音楽室に戻っていった。



亜美は頭の中で何度もさっきの陽の言葉をリピートしていた。


『お前、もうここに来んな』


初めて陽から出たあたしを拒否する言葉。


亜美は信じられなかった。

信じたくなかった。



――拒否されたんだ


その言葉の意味をちゃんと理解したのはかなり時間がたってから。


「あー、荷物取りに行かなきゃ……」


音楽室に置いてきたあたしの荷物。


それを取りに行かなきゃいけないなぁ、なんて冷静な部分もあった。


あたしが、悪いよな。今のは。


あたしは陽たちを信用しきれていなかったんだ。


陽が怒って当然だ。


怒って当然のことをあたしはしたんだ。




――発想の転換だ



いい機会だと思え。陽たちから離れられるんだから。




亜美はいつもの笑顔を浮かべて荷物を取りに最後の音楽室にむかった。