深瀬は幅広く事業展開している。
海外にあるそのうちのいくつかを亜美が任されることになったのだ。
「もし、俺が言わなかったらお前内緒で行く気だったのか?」
「そうだよ」
言うか、言わないか。
正直迷った。
でも言わないことにしていた。
だって気を遣われるのは嫌だったから。
いなくなるってだけであたしに気を遣われたくはなかった。
ここは本当のあたしを受け入れてくれる場所なのに、それがなくなったら……
だから言えなかった。
「……お前にとってここはそんなもんだったのか」
冷たい視線。
これは完璧に勘違いをしている。
「違うよ。みんなに気を遣って欲しくなかったの。ここは本当のあたしを受け入れてくれる場所だからこそ、言えなかった」
ちゃんと、分かって。
「……俺たち、お前に気ぃ遣ったことなんかあったか?ねぇだろ。それはいつだって変わらねぇ」
怒ってる。陽が、怒ってる。それもかなり。
「――――お前、もうここに来んな」
「――――え、」
それは突然で。
「勝手にアメリカでも行けば」



