「あのあと兄貴が俺に謝りに来たよ。『お前が見えてなかった』って」
「そっか……」
大翔のお兄さんは、一番身近な弟という存在が見えていなかったのだ。
そしてそれに気付かずひたすら大翔を心無い一言で傷つけ続けた。
でも、やっと気が付いた。
そして自分を見直せた。
もう大丈夫だ。
「まだ面と向かって“兄貴”とは呼べないけど、ちゃんと昔みたいに戻るだろ、いつか」
「うん、そうだね」
“昔みたいに”はもう戻れないところまであたしは来てしまった。
「ねぇ、大翔」
「なんだよ」
大翔になら、言ってもいいかもしれない。
「……やっぱいいや」
「なんだよ、気持ち悪いな」
「酷っ、気持ち悪いなとはんだ!」
「気持ち悪い奴に正直に教えてやったんだ。感謝しろ」
「買い物かごに大量にたべものいれてやる」
「嫌がらせの仕方が幼稚」
どこまでいっても馬鹿にされるようです。
「ってか、早く行くぞ。陽がシュークリームを待ち望んでいる。今日は特別だから、ちょっと高いやつ買っていってやるか……」
「さんせーい!」



