亜美のあの変わり具合。あれは異常といっても過言じゃない。


「亜美、大変なんだな」


颯太が呟いた。


「あ?何でだそうなんだよ」


大雅は読んでいた雑誌を勢いよく閉じた。


「だって、鏡に向かって自分に無理矢理言い聞かせなきゃいけないんだぞ?本当は辛いんじゃないのかな?」


悲しそうな顔で颯太は言う。


「颯太、俺たちは何も知らねぇんだ。簡単に憶測だけで言葉を並べるな」


「でも……」


静かに陽に睨まれた颯太は口を閉ざした。


陽たちは何も知らないのだ。亜美のことを。


「分からないなら聞けばいい。けど限度はわきまえろ」


「陽!?」


結局は陽だって亜美のことを知りたいと思っているのだ。


自分達はもう亜美のことを知りたいと思っていいのだ。


きっと聞いたら亜美は教えてくれるだろう。


柊秀のことも、母親のことも、大翔のことも。


一緒に乗り越えてきたんだ。