一応、金井家と深瀬家は大切なビジネスパートナー。
失礼がいってはいけない。
それは向こうもおなじだが……
今日のパーティーには父の、隆は呼ばれてはいない。
呼ばれたのは亜美だけ。
もちろん会場に入れるのは亜美だけ。
それを分かっていながら、佐伯は付いてきていた。
「……亜美さん、これから先、私はご一緒できません。失礼のないように……」
「私を誰だと思ってるの?」
そう言ってやると、佐伯さんがクスッと笑った。
「そうですね。あなたは深瀬亜美様でしたね。いらぬ心配でした。申し訳ありません。では、お時間が来ましたらお迎えに上がります」
「はいはい」
さっさと帰りなさいよ。
居てくれたほうが安心はするのに、つい意地を張ってしまった。
「失礼します」
佐伯さんは亜美に深くお辞儀をしたあと、去っていった。
「……なかなか出来るお方ですね」
「遠藤さんに言ってもらえたって知ったら、喜びます」
遠藤さんは亜美に並ぶ事はせず、一歩後ろから話し掛けてくれている。
緊張してるのがバレバレか。
本当、遠藤さんは完璧だ。



